エロです。赤いのは無邪気なふりしてるだけだと信じてる。

E×O


 発車のベルが鳴る寸前、どうにかこうにか満員の電車に乗り込む。というか、押し込められる。
 何が悲しくてこんなうざい状態に……と相当苛々しつつも、行かざるを得ない自分の状況が情けない。
 足がわずかにつま先立ちになるくらいの充実っぷりに、どこにこんなに人が隠れてたんだ……と明後日のことを考えながら10分ほど経つと、駅に着き乗り降りする人の波にもまれる。
 どさくさにまぎれ、ドアの間に隙間をみつけて何とか滑り込んだ。

「……?」
 ふと、臀部に違和感。
 さわ。さわさわさわさわ。
 これはもしや。
(痴漢……?)
 ただ自分はどこからどう見ても普通の男だし、何かの事故か?
 別に朝から溜まってるわけでもないけど、スルーするのもうざったいのでひっかくとか捻るとかしてやろうと、その不埒な手を掴んだ。
 その瞬間、ものすごい力で手首を掴み返された。
(なに……)
 その手を、どこかに押しつけられたのだが、この感触は……。
(えええええええええええええええええええええええ)
 この、硬い感触は……勃って……!
 思わず硬直した直後、電車は駅に滑り込んだ。
(逃げられる……! やばい、逃げよう)
 振り払って逃げようと出口に向かうが、逆にぐいぐいと引っ張られ、電車から引きずり下ろされた。
 それは……
「エル……おまえ何して……」
「アハハッ」
 天真爛漫な笑顔で、ぐいぐい引っ張られる。
 笑っていない目と、腕の力に我知らず身が縮こまる。
「こっそりオスカー見てたらゾクゾクしちゃって」
 目の前にトイレが見えた。


「待て……何……っぐぁ……」
 無理矢理個室に押し込まれ、便座に座らされる。
 ヤバイ、と身も世もなく大声を出そうとすると、口の中にハンカチを押し込められた。
 意外と馬鹿力で、片手で易々と動きを封じられる。
 本気を出して抵抗すれば何とかなるのかもしれないが、そうする気にもならなかった。
 怖い、のだ。こいつの目が。
 にこにこへらへら笑ってるくせに、絶対に本気で笑ってない。
 その目に射すくめられ、動けなくなってしまう自分が心底情けない。
「だいじょうぶ、君のことどうにかしようとは思ってないよ」
 顔だけはにこにこ笑いながら人のことをぎゅうぎゅう押さえつけ、やつは自分のズボンのベルトを外した。
「見てて、その綺麗な目で」
 すごく冷たい目でそう言うと、なんと、人の目の前で自分で自分のモノを弄くり始めた。
「〜〜〜〜〜っ!?」
 便座に座らされて上から押さえつけられた状態で、目の前にはやつのモノが。
 だらだら体液が出てきて、ぷんと雄の臭いがする。
(そんなもの見せるな!!!!)
 そういって暴れたいのに、身体は全然言うことをきかない。
 目を逸らすと、体液にまみれた手で頭を掴まれ引き戻された。
「見てろって言ったよ?」
 べたべたの手で頭を押さえつけられ「セットしたのに……」なんて全然関係ないことを思っているうちに、やつは今までオレの腕を拘束していた手でまた自身を扱きはじめる。
 正直に言おう。その恍惚とした表情に、隠しきれない怯えと、欲情を感じた。
 見開いたままの目は逸らせず、育っていく彼をまじまじと見つめる。
(あ、やばい……)
 そう思った瞬間、顔に生暖かい体液がぶちまけられた。
「ぅ……」
 反射的に目を閉じたものの、どうしていいのか分からずに完全に思考停止。

「君のも起きちゃってるね」

 手が伸びてくる。
 頭の中で警笛が鳴り響く。

「やめろ……っ!!」
 自分でも痛々しくなるくらい悲壮な悲鳴が出た。
 どんなに身を捩っても、馬鹿力は全くゆるまず、びくともしない。
 壁に自分の身体がぶつかってどんどん音を立てる。
「おかしいだろこんなの!」
 振り上げた足の当たり所が悪かったらしく、押さえつけている真っ赤な髪の野郎は一瞬目を細めた。
 ヤバイ。
「……オスカーっていい度胸してるよね」
 にっこり、綺麗な綺麗な微笑。
 血の気がひくと同時に、便所のドアに顔面を押しつけられる。
 覚えているだろうか、オレが便座に座らされていたことを。
「いだっ!!」
 かなりの勢いでぶつけられ、あまりの痛みに目の奥がスパークした。
 そのままエルモの手は、オレのズボンの中に入ってくる。
  こっちはデコが痛くて悶絶気味だというのに……。
「いいね、涙に濡れた目って」
 これは純粋な痛みの為だ!!
 このドSが!!
 片手でデコを押さえ(ちょっと腫れて熱を持ってる)片手で不埒な手に必死で抵抗。
「どうしてやなの?」
 ふ、とうなじに熱い息が吹きかけられ、思わず硬直した。
 その隙を見逃さず、早業で下着の中に手が入り込んでくる。
「やめ……っ!」
 身を捩ってももう駄目だ。弱いところを知り尽くした手が、どんどん欲を暴いていく。
 両拳を握りしめ必死で熱を逃そうとするが、暴力的なほどの快感が脳髄を溶かす。
 脚ががくがく震え、今にも崩れ落ちそうになるのを耐える。
「ほんと、キモチイイことに弱いよねえ、オスカー」
 嘲るような声が聞こえるが、立つことと快感に耐えることに必死でそれどころではない。
 先端をぐりぐり弄られ堪らず膝が崩れるが、股の間に脚を差し込まれ、それも許されない。
「ほら、ちゃんと立って。自分でヤる時も立ってヤったらすごくキモチイイんだよ」
 身体がびくびく波打つ。
 引っかかりはないが扉に爪を立てて逃れようとする。
 あられもない声が出そうで、拳に噛み付く。
 ぽろぽろ涙が零れ、その感覚にすら鳥肌が立つ。
 限界を訴える身体、理性が焼き切れそうになる。
「イかせてあげるよ」
 その一言と同時に、目の前で白がスパーク。
 
「あ……」
 呆然と座り込んだオレの身体を無理矢理反転させ、ドSはにんまりと笑った。
「また勃っちゃった」







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